No.113 井上 彩子 |
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アルバイトから学んだこと
私のバイト先である京都の映画館は1月の29日で閉館します。70年の歴史を持っていた劇場が河原町にはなくなってしまいます。きっと、お年寄りの方にはすごく思い出いっぱいの劇場なのでしょう。私たち従業員はもちろん閉館してしまうことは悲しいけれど、様々な思い出を持った方はなおさらのことでしょう。 今は、1月28日、29日の閉館イベントに向けて準備の真っ最中です。閉館イベントでは、『七人の侍』とか『ベン・ハー』、『十戒』といった昔の名作をたくさん上映します。私たちは、劇場をたくさん飾って、お客様の思い出に残る劇場を作っています。
ここで、少しばかり私のバイトを振り返ってみたいと思います。 このバイトを始めて1年9ヶ月。実は、2年半前には大阪の同じ系列の映画館でバイトしてました。そこがすごく楽しかったから、京都で始めたのです。
私は、ここで多くのことを学びました。とても古い劇場であっただけに、シネコンとは違って、とても便利とは言えませんでした。階段も多いし、古いし、劇場ごとに入り口違うし・・・だけど、それだからこそ、私たちのサービスというものが重要だったのです。私たちは形のない商品を提供していました。映画というものを気持ちよく見ていただくために、私たちは努力していました。そんな時、映画を見たお客様が『よかったよ、ありがとう』と言ってくださったことがありました。足の悪い方のためにエスカレーターを反転させて、お礼のお手紙を頂いたこともありました。そんなときに、私はとても喜びを感じました。この経験を通じてサービス業って素敵なのかなと思うようになりました。同じ空間で過ごした方に、形には残らないけど、素敵な思い出を作ることができる仕事。それが、サービスの仕事ではないでしょうか。
06/01/23 23:44
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