テーマ
コミュニティ・デザイン −Tシャツからまちづくりまで−




谷口知弘 プロフィール

 デザインの世界に憧れ、大学では工業デザインを、大学院では都市景観について学びました。 弱小零細デザイン事務所に勤務し、プロダクトデザインを中心に営業から設計まで弱小ならではの様々な業務を体験した後、 母校の京都工芸繊維大学造形工学科に勤務、デザインの基礎教育と工業デザイン分野を担当。本学へは2002年の春にやってきました。
 工業デザインからスタートしたものの興味の対象は変転を続け、まちづくりまで広がっています。 現在はユーザ(≒生活者・市民)がデザインのプロセスにどのように関われば素敵な環境が実現するかについて研究・実践しています。


1.研究内容
 身近な暮らしの環境から、地球規模の環境まで、人類の存亡さえ危ぶまれかねない状況が目の前にあります。 大量生産、大量消費、大量廃棄に支えられた社会システムの限界を感じつつなすすべもなく立ち尽くす我々がいます。
 では、持続可能な社会の実現が叫ばれる中、デザインには何ができるのでしょうか。どのような役割が果たせるのでしょうか。  工業デザインや環境デザインなど、今あるデザインの分野では解決できない問題がたくさんあります。 そこで、細分化された専門分野を繋ぎ、そして、技術の世界と社会を繋ぐことで、複雑化した問題に立ち向かう一つの切り口として 『デザインプロセス』や『コミュニティ・デザイン』に取り組んでいます。対象は、空間を限定した地域でのコミュニティから、 ユビキタスコンピューティングの時代が間近に迫る今、距離を越えてバーチャルに場を共有するネット上のコミュニティまで広がっています。 分散しながらも協働が可能な環境は整いつつあり、地域を越えての商品やサービス開発へのユーザ参加についても探っていきたいと考えています。

2.ゼミの運営方法
 気持ちよく暮らせる生活環境を持続可能な社会として実現することを目指し、デザインの視点で物事を見つめながらデザインはどのような役割を果たせるのか?共に考え、実践していきます。  研究を進める主な視点としては、「コミュニティ・デザイン」、「ユニバーサルデザイン」、「情報デザイン」などがあげられますが、 Tシャツづくりからまちづくりまで研究のフィールドや対象は実に多方面に開かれています。 多様な視点をゼミに持ち込んでください。皆さんの関心を寄せるテーマや対象に沿ったフィールドの発見からはじめ、 フィールドワークに重点をおいてプロジェクトごとに研究を進めていく予定です。
 プロジェクトチームの運営やゼミ運営自体がコミュニティ・デザインの実践的研究の場だと考えています。 教員と学生、学生同士が話し合いを進めるなかで、運営方法の工夫や開発が積極的に行われ、 自主的・自立的な運営が行われることを期待しています。

3.受講生に望むこと
 既存の分野にとらわれることなく、新たな世界を切り開こうと志向するチャレンジ精神旺盛な人。 また、そうありたいと願っている人は是非集まってください。


参考
2003年度は、下記の3つのテーマ、5つのプロジェクトで活動しています。
■テーマ1.スローライフ研究・提案
keyword
持続可能な社会・開発、スローライフ、スローフード、地域コミュニティ、伝統産業、マーケティング、スタイリングデザイン、 デザインプロセス、デザインプロデュース

□スローライフプロジェクト
京町家のライフスタイル研究、京のまちなかにおけるコミュニティの研究
協働:京都自給ネットワーク、NPO法人うつくしい京都

□京漆器商品開発プロジェクト
京都発伝統産業の活性化、漆器の商品開発
協働:京漆器 象彦


■テーマ2.地域ITコミュニケーション研究・実験
keyword
ネットコミュニケーション、ポータルサイト、携帯電話、商工業の活性化、
参加型のまちづくり、地域資源の活用、西京区

□西京ネットコミュニティプロジェクト
西山文化創造バリューチェーン構想、ネットコミュニケーションを活用した地域活性化の調査・実験
協働:京都商工会議所、西京区の商工業者、Marble.co、+PlusOne


■テーマ3.相互学習とまちづくり研究・提案・実践
keyword
環境学習、総合的学習の時間、地域史・郷土史学習、相互学習、参加型のまちづくり、地域で子どもを育てる、 ワークショップ、ネットコミュニケーション、デジタルアーカイブ

□まちなか修学旅行プロジェクト
地域まちづくりとコミュニケーション型修学旅行のプログラム開発及び実践
協働:歩いて暮らせるまちづくり推進協議会、JTB、有限会社ピューパ

□出町環境学習プロジェクト
歴史をテーマにした地域環境学習プログラムの提案・実践
協働:でまち倶楽部、京極小学校PTA、京極歴史探偵団



質問は
遠慮なくt-tomo@ba.ritsumei.ac.jpまでメールください。
また、事前に連絡の上、研究室(アクロスウイング4F 405)を訪ねてください。



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