キャンパスアベニュー
立命館大BKC 地域と学生の懸け橋を /滋賀



◇経営学部の南さんら3人−−来月、サークル「SHC」設立 商店街を拠点に

 立命館大びわこ・くさつキャンパス(BKC)にある経営学部3年の女子学生3人が、 商店街をはじめとした地域の人たちと、大学生とをつなぐサークル「SHC」を5月に設立し、活動を始める。 昨年度に取り組んだ大学での研究の成果を形にした。 学生が「何をやっているか」が見えにくいと感じている地域の人たちと、「地域とつながろう」と思いつつ、 きっかけがつかめな学生たち。両者の懸け橋になるのが、彼女らの願いだ。【阿部雄介】

 サークルを立ち上げるのは、経営学部環境デザインインスティテュートの南絢子さん(20)、 平岡真那美さん(20)、筧美幸さん(20)の3人。同学部の2年生向け科目「プロジェクト研究」がきっかけだった。テーマは完全に自由。 3人はまず、草津の街を歩くことから始めた。

 JR草津駅周辺の旧東海道沿いの商店街から3人が受けた印象はさまざまだった。大阪から通う筧さんは「落ち着きがあって、京都みたい」、大津に住む平岡さんは「普段は自転車やバイクでしか通らず、歩いてみたらとてもいい雰囲気だった」と好印象。地元の南さんは「当たり前に思っていたけど、 『商店街なのに車がどんどん通るね』と、2人から言われてみて気が付いた」と再認識した様子。

 3人はその足で商店街の店主らに、BKCの認知度や学生に求めることなどの聞き取り調査をした。店主らの多くは、「学生に協力したい」と思いつつ、相手の学生が「何をやっているのか分からない」と考えていた。一度学生に空き店舗を提供した人もいたが、学生だけのたまり場になってしまい、 やっぱり「何をしているか分からない場所」になってしまったそうだ。学生にアイデアを求める店主も多かった。

 10月には、学生側に地域とのかかわりについてアンケートを実施した。学生の約56%は「地域とのかかわりがない」と考え、その一方で、約54%が「何らかのかかわりを持ちたい」との思いを抱いていた。かかわりを持ちたい学生の多さに驚いたという南さんは「BKCは他大学との交流が少なく、 一人暮らしの人は特に孤独感が強いので、地域とのつながりを求めているのでは」と分析する。

 地域の子どもたちと活動する団体への聞き取りなども行った結果、「学生のアイデアや行動力を求める地域」と「地域とかかわりたいが方法が分からない学生」をつなぐ団体が必要と結論づけた。しかし、そのような団体はない。ないなら3人が立ち上がろうと、「SHC」の設立を決めた。SはStudent(学生)、CはCommunity(地域)などを表し、Hは「懸け橋」のイメージ。商店街の活性化イベントに学生を巻き込んだり、 空き店舗で学生の作品展を開いて地域の人と交流する、といった活動を思い描いている。

 3人のプロジェクト研究を指導した同インスティチュートの谷口知弘助教授(コミュニティ・デザイン)は 「完成度としてはまだまだ未熟だが、地域との連携という大事なところに目を付けたのが良かった。 学生が自発的に行動を起こすことに意義があり、引き続きサポートしていきたい」と話している。

 筧さんは「去年の活動で、地域や人のつながりがすごく大事だと思った。 もっと地域の良さをみんなに知ってほしい」、平岡さんは「去年はとても充実感があった。 活動が軌道に乗るまでやり遂げたい」と意気込んでいる。

毎日新聞 2004年4月23日

home